ゆずとこゆりのコラボレーション企画用短歌ブログ。主なコンセプトは「短歌でしりとり」です。どうぞよろしくおねがいします。
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2010.03.17 Wednesday..-.-
turn3.こゆり
 いがいがの喉、くちびるを割る北風 こんなに君を思い出すのに

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ひげをはやすような男はきらい。
なぜってキスをするとき痛いから。それだけ。

三年生になってバーテンダーのバイトをするようになった彼は、少し変わった。
服装や音楽の趣味はそれほどでもないけれど、大学の授業をちょくちょくさぼるようになった。
それから、ひげをはやすようになった。
それから、髪の長い女の子と、仲良くするようになった。

「痛いよ」
肌の弱いあたしは、ときどきそう訴えた。
でも
「一度はやしちゃったらない顔がなんかまぬけなんだよ」
と言ったきり、気にしていないみたいだった。

しかたがないからそれ以来、特大サイズのワセリンをかばんに入れて持ち歩いたりしていて、友達に笑われる。
だって何度もキスをした次の日は、くちびるが赤く荒れて痛いのだ。
こんな乾燥した季節は余計に。

そんなことをぼんやり考えていると、
「じゃあ、もう行くね」
彼が立ち上がる。

別れ話に自分の部屋に呼ぶなんて、間違っていたのかもしれない。
あたしが彼の腕をつかむと、思ったとおりに抱きしめられた。
そしてくちびるが近づいた。
昔みたいな長いキスだったから、余計にこれでもう最後なんだと思い知らされる。

「じゃあね」
彼は部屋を出たあと、もう一度ドアを開けて
「ちゃんと鍵しめろよ」
といつもみたいに言った。
外のかなしいくらいに冷たい空気が、あたしの玄関いっぱいに広がって、やっと泣けた。
寒い夜の中、凍えながら歩く彼の背中を想像すると、少し心配になる。
「気をつけて」
音をたてて閉まったドアに向かって、いつもみたいにそうつぶやいた。

翌朝ベッドから起き上がると、泣きはらした目よりも、くちびるが赤く腫れていた。
かばんからワセリンを取り出して、そしてやっぱり塗るのをやめた。

この腫れが、痛みが、ずっと続けばいいのにと思った。

これから学校に行けば、友達はあたしの顔を笑うだろう。

***

あけましておめでとうございます。
実家ではネットとはほぼ無縁の生活を送っているので、帰省する新幹線の中でストーリー考えておいて本当によかった(笑)
ひげをはやした彼氏どころか恋人もいなかったはずだけど、大学の友達が本当にワセリンの特大サイズ容器からごっそり中身をとりだしてぬっているのを見て、驚いて大笑いした思い出があります。
ワセリンはたいした代物で、それこそくちびるや手が荒れたときたっぷりぬって眠ると翌朝きれいになっているのですが、べたべたするので感触的には苦手かも。

次はゆずちゃん。
「に」からはじまる短歌です。
今年もよろしくね。


2010.01.02 Saturday.22:55.しりとり短歌.comments(2)
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2010.03.17 Wednesday..-.-
Comment
ナエマ 2010.02.2010/02/05 01:37
最後の、この痛みがずっと続けばいいのに‥って女なら皆共感できる感覚かもしれないね。
肉体的な痛み、傷とか。痛いけど消えないで、みたいな矛盾した感情。
女心を書くのが上手いよ〜。こゆりさんもゆずちゃん(ゴメン‥勝手にちゃん付け)もお見事です。
あ、写真も可愛いと思いました♪

こゆり 2010.03.2010/03/02 22:45
ナエマさん
お返事、なかなかしないでごめんなさいっ;;毎回よんでくれててうれしいです。
写真は携帯の写メールという、ちょっとぼんやりした感じがいいみたい(笑)本気で撮ってもきっとセンスゼロなのでw
次はどうしようかなあ。。なるべくおもしろいのを書きたいと思います。





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